発酵と香取市の醸造文化


発酵は多くの食品で活用されていますが、千葉県香取市では古くから発酵を活かした醸造文化が根付いてました。

「発酵」とは付着した微生物の働きによって有機物の分解や副産物生成がおきて、人間にとって有益なものができる現象のことです。その有機物がおいしくなったり、栄養機能がついたり、保存性が高まったり、腸内環境の改善や抗酸化作用などの健康効果をもたらしたりします。

実は多くの食品に発酵の技術が使われていて、分かりやすい例で言えば、納豆は煮た大豆に付着させた納豆菌に「発酵」させて出来上がる、典型的な発酵食品の一つです。他にも「日本の食文化とは発酵食品文化である」と言っても過言でないほど、日本には発酵食品が太古の昔から根付いています。醤油、味噌、日本酒、お酢、味醂(みりん)などは全部発酵食品で、日本人は日常的に発酵食品を口にしているのです。

千葉県香取市の佐原では、江戸時代の中頃には「関東の灘」の異名をとるほど酒造りが盛んで、天明8年(1788年)当時の佐原村には酒造人が35人を数えたそうです。『佐原市史』によると佐原の酒造りは伊能三郎右衛門家が常陸の国牛堀村平八郎の名代を買い受けて佐原で酒屋を始めたと言われております。その伊能三郎右衛門家は後にあの伊能忠敬を輩出した名家です。また佐原では醤油造りも盛んだったそうで1839年には14軒が名を連ねていたそうです。酒も醤油も発酵を活かした醸造によって作られます。

現在、香取市では馬場本店酒造、東薫酒造、飯田本家酒造の3つの酒蔵に加えてちば醤油、と長い歴史を持つ醸造所があります。さらに隣町ですが神崎町にも鍋店(なべだな)、寺田本家という2つの酒の醸造所があります。古くから醸造文化のある地域なのです。だから香取市は発酵に着目したのだと思います。